※第一話はこちら↓
一度も痩せなかったジャイ子がダイエット頑張ってみる【ジャイ子ダイエット第1話】 - 痩せない豚は幻想を捨てろ。
私は自宅の体重計の前で途方に暮れていた。
体重が、落ちない。
今から一か月前、しずかからダイエットにおいて重要な考え方を教わってから数日間は少しづつ着実に体重が落ちていったのに、ここ一週間まるで変動がない。
最初は体重計に乗るのがワクワクしてたのに、最近は体重を見るのが怖くなってきた
ジャイ子(食事制限も運動も続けてるのになんで...)
私は体重計の前で覚悟を決めた。そして、体重計に脚を乗せた
ジャイ子(やる事はやってきたわ。摂取カロリーも毎日抑えてる。今日こそ体重減ってるはず...)
ゴクリ。
唾を飲みこもうとしたが、喉を鳴らしただけになった。口の渇きが止まらない
体重計「78.2キロだよ!このデブ!」
ジャイ子「ひゃ、ひゃくグラム増えてる、、、」
やっぱり私は痩せる事なんかできないんだ。
こんな私が痩せようとしたのが間違いだった。
ダイエットなんかクソだクソ。やめやめこんなの。終了。ジ・エンド。しずか許すまじ。
私が全てを諦めかけたその時、足元に赤と金色で装飾されたカラフルなチラシが落ちていたのが目に入った
カサ...
ジャイ子「ん...?ダイエット成功率99%の痩身エステ...今だけ初回無料で施術中...?」
(成功率99%?ホントかなコレ、、?でももしホントだったら、、)
エステなんかで本当に痩せるのかな。
少し不安もあったけどそんな事よりも今のやり方をこのまま続ける不安の方が大きかった。
(まあ、初回は無料って書いてあるし...)
考えるよりも先に私の手はチラシの隅に書いてある電話番号に電話をかけていた
ジャイ子が痩身エステに行ってみた
「ぃらっしゃいませ~~~~~~↑」
柳原可奈子風のエステティシャンが甲高い声で挨拶してきた。
物凄い笑顔ではいるが、目は笑っていない。
ジャイ子「あの~初回無料体験というのチラシを見て来たんですけど」
柳原「無料体験ご希望でらっしゃいますね~ありがとうございますぅ~~↑」
ジャイ子「ところで無料でエステしてもらえるってホントなんですか?今日お金持ってきてないんですけど」
柳原「うんうん~もちろんホントですよぉ~↑でもぉ~~↓」
お姉さんは続けて言った
柳原「エステって実は一回だけ施術してもあまり意味ないんですよぉ~↓ 継続して頂いて効果が出てくるものなのでぇ~うん~」
ジャイ子「そ、そうなんだ、何度も続けて通わないと意味ないのか。。そりゃそうだよな。。でもこれでもし効果がなかったらどうしよう。。」
柳原「うんうん~お気持ち分かりますぅ~~ただコチラ個人差がございますのでぇ~~保証とかはしてないんですよぉ~~うん~」
お姉さんは畳みかけるように言った
柳原「でもでも~お客様の体脂肪率ですと~やはりエステがピッタリだと思うんですよぉ~~↑」
おねえさんは手元のパンフレットの人体のイラストを指さしながら言った
柳原「見てくださいコレ~、体脂肪が極端に多い人が筋トレしたりしてダイエットしようとするとこんな風に脂肪の上にミルフィーユ状に筋肉が重なってしまって逆に脂肪が落ちづらくなってしまうんですよぉ~~分かりやすくいうとただの豚肉が霜降り肉になるみたいな~~」
ジャイ子「お、恐ろしいですね、コレ知らなかったら筋トレしてました。。危なかったぁ。。」
ジャイ子「ところでチラシのビフォーアフターに載ってるこの人が私と同じくらいの体形だったと思うんですけど、どれくらい痩せたんですか?」
柳原「この方は約半年間のご来店で30キロほど痩せましたねぇ~~まあ個人差はあるんですけどもぉ~~」
ジャイ子「なにそれすげえ今すぐ契約シマス!とりあえず一か月!」
柳原「ありがとうございますぅ~~↑ただお客様の場合は最低でも三か月は継続してご来店頂かないとハッキリとした効果は出ないかもですぅ~~」
ジャイ子「わかりました!では3か月コースで!」
柳原「ありがとうございますぅ~↑30万円になりますぅ~~↑」
値段が少し高いような気もしたけど、別にいいのだ。今の私にとって痩せる事以上の価値はない。
お姉さんは終始口角が上がりっぱなしだったが私がローン契約書にサインをした時、初めて目が笑った気がした。
~3カ月後~
ジャイ子「しずかちゃ~ん!エステ全然痩せないよ~~!!!」
しずか「エステ?一体何があったの?」
あれから三か月間、運動・食事制限を辞めたかわりにサボらずエステに通ったが、体重・体脂肪率ともに全く変化がなかった。
テンパった私はしずかの家に駆け込み、ここ三か月にあった事の顛末を話した。
ジャイ子「というわけなんだけど。。」
しずか「そんなので痩せるワケないじゃない。エステでバカ高いお金払うのなんて、インスタとツイッターで蟻みたいに湧いてる『弟子募集!あなたもネットビジネスで月収百万円稼げます!』っていう情報商材屋に騙されるのに等しいわよ」
しずか「だいたい、ミルフィーユ状に脂肪の上に筋肉が重なるってなんなのよ。人間ではないじゃないそれ。」
ジャイ子「だ、だって。。エステのお姉さんが脂肪の専門家っぽかったから。。」
しずかはため息をつきながら、おもむろに私が握りしめていたチラシを手に取った。
しずか「それによく見てこのビフォーアフターの写真。この人の後ろの柱がひん曲がってるじゃない。明らかに画像を加工して痩せさせてるのが一目瞭然よ」
しずかに促されるがままチラシに目をやると、言われてみればアフター写真の異常にスタイルの良くなった女の子の背景、後ろの空間が湾曲している。
ジャイ子「ほ、ほんとだ、、、」
見れば見るほどあり得ない写真に見えてきた。確かにこの女の子、この世のものとは思えない体形をしている。ウエストと脚だけが異様に細い。完全に加工である。
正にチラシのキャッチコピーの通り、信じられないスタイル。もはや私が生きているこの次元の人間ではない。
なんでこんなのに騙されたんだろう
ジャイ子「今から電話してお金返してもらう!!」
しずか「無駄ね。」
ジャイ子「え?」
しずか「こういうところは『必ず痩せる』とは保証してないはずよ。」
確かにあの店員は「保証はしていない」「個人差がある」という事を5万回くらい連呼していた。
私は自分を呪いそうになった。また昔の苦い思い出が蘇ってきそうだ
しずか「だいたいどうして今更エステなんかに行こうと思ったのよ。こないだ、ダイエットのやり方教えてあげたじゃない。あれから何も連絡ないから、てっきりうまくいってるかと思ってたのに」
ジャイ子「確かに三週間くらいは順調に痩せてたんだけど、突然体重が全く落ちなくなって、、かなりカロリー抑えてるはずなのに増えた日もあったし、、」
しずか「なるほどね。ちょうどいい機会だからもうひとつダイエットにおいて大事な事教えてあげるわ」
しずか「ジャイ子ちゃんはね、いちいち体重に一喜一憂しすぎなのよ。」
ジャイ子「一喜一憂しすぎ...?」
しずか「そう。人の体重の増減なんて波を描くのが当然でしょ。それまで痩せていったのに0.1キロでも増えたら諦めるってなに?どうしたの?バカなの?」
ジャイ子「」
しずか「ダイエット中、特に停滞期は水分がたくさん出たり入ったりするから過剰に体重に囚われてはダメなのよ。体重は増えても、脂肪が減っている事だってあるの。ここに↓そこらへん詳しく書いてあるわ」
ダイエット停滞期も脂肪は減っている【停滞期の原因・乗り越え方】 - 痩せない豚は幻想を捨てろ。
ジャイ子「体重が増えても脂肪は減っている...つまり、私が振り回されていたのは水分だったんだ...」
しずか「ちなみにデジタル体組成計では体脂肪率も正確に測ることはできないから、少しくらい増えたからってあまり悲観することはないわよ。タニタやパナソニックはおろかinbodyですら正確じゃないから。」
ジャイ子「えっじゃあ体脂肪はどうやって測ればいいの!?」
しずか「脂肪なんて見た目にすぐ表れるから数値は気にすることないと思うけど。どうしても測りたいならデジタルな現代とは逆行するけど脂肪の増減が比較的正確に測れる便利なモノがあるわ。」
しずかはポケットからゴソゴソと何かを取り出した。
しずか「皮下脂肪キャリパ~~~」
ジャイ子(どらえもん...?)
しずか「ダイエット界隈ではなぜかあまり使われてないけど、これを使ってお腹の皮の厚みを測ればある程度脂肪がハッキリ測れるわよ。はいこれあげる」
ジャイ子「ありがとう!これでもう一度頑張ってみる!」
しずか「頑張ってね。大事なのは、自分の行動に自信を持つことよ。しっかり運動して、しっかり食事制限してたら脂肪が増えるなんて地球外生命体でもない限りあり得ないんだから。」
ジャイ子「分かったわ。今日のポイントは①体重に囚われない、②行動に自信を持つ、ね!!」
しずかから貰ったキャリパーを胸に抱き、ダイエット復活した私は自分でルールを作ることにした。
【ジャイ子の作ったルール】
①体重を図るのは一週間に一度。
②キャリパーで脂肪の厚みは毎日測る。
③目標の摂取カロリーをクリアしていた場合、体重が増えていても無視する。
④これを少なくとも一か月続ける。
私はこの四つをメモ帳に書き留めた。
ジャイ子(これでよしーー)
私はあれ、と思った。今までの人生で自ら自分にルールを課したことなんか一度もなかった。
しずかのコーチングを受け始めてから、私の中で確実に何かが変わってきていた。
続く(多分)